持っているバスクラリネット YCL-622II

Claへや Ver2.1

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■クラリネットの機種比較[ヤマハ・イデアルG]※廃盤により現在は在庫限りの取扱いのようです。

カタログ紹介文(2017年版ヤマハクラリネットカタログより)
芳醇な響きが奏でるアートな世界へ
深みと奥行きのある伝統の音色を継承しながらも、より音の核心に迫るため、細部から再構築された新しいクラリネット、"イデアルG"の登場です
自然で純粋な響きがグラナディラの魂ともいえるもの。温かさと柔らかさ、そして芯のある透明感はそのままに更により自由に伸びやかに。中低音の豊かでふくよかな響き、そして高音部にあっても温もりを失わない"イデアルG"の紡ぐ新たな音の境地。それは世界のアーティストと繋がるヤマハが、変化し続ける音楽表現を可能にする為に、磨きをかけたもの。歴史に大きなページを刻むクラリネット、"イデアルG"。
税込標準価格:in B♭ \615,600/in A \680,400 | 2割引価格(値引き目安):in B♭ \492,480/in A \544,320
個人的感想
ベーム管クラリネットとしては異色の楽器です。
内径形状がストレートで、またバレル(タル)を1cm短く作ってあるのでよりエーラー管(というよりリフォームドベーム管)に近い音色が出ます。
"不思議ちゃん"な楽器という表現が合いそうな楽器です。
吹奏楽で使ってる人もいますが、どちらかというと吹奏楽で使う分にはCSVmasterの方が相性がよさそうです。
ドイツ系のソロ曲やオーケストラ曲であれば下手なエーラー管よりも雰囲気が出そうです。
ヤマハの営業さんが言われるには音大生からプロの方をターゲットにした楽器だとのことです。
長所
独特な音色はこれまでのベーム管で表現が難しかった曲もしっかりと表現できます。ブラームスのソナタなどドイツ系の曲はこの楽器で吹いてみたいですね。
リフォームドベーム管よりも扱いやすくてエーラー管に近い楽器なのに高級機種にしてはお手頃感のある価格帯です。
人間工学に基づいたキィデザインを採用してあるので操作性がよく楽に指が回ります。
革パッドを採用しているので、パッドの耐久性もありメンテナンスが楽です。
短所
バレル(タル)が短い専用設計なので、バックン等の別バレル(タル)を使う場合は専用のものが必要になります。そのため、物によっては対応しないものもあります。
また、上記の理由によりケースも付属の専用ケース以外は物理的に入らない可能性が高いです。なのでB♭管とA管はセットにして持ちたい楽器だと言えます。
大音量をガンガン鳴らしたいというシチュエーションには向きにくい楽器です。
同一メーカー品との比較
CSVMasterとの比較
同じCS系の上位機種でどちらも一種の完成形ですが、方向性がまったく違う楽器と言えます。
CSVMasterの方がいろんなシチュエーションに対応し易い楽器ですが、イデアルGは他のベーム管とは一味違う楽器なのでこの楽器の音色に魅力を感じたら迷わずにイデアルGを選択すべきです。
・SE ArtistModelとの比較
SE ArtistModelはSE系の最新機種なので音の方向性が根本から違います。
どちらも個性の強い楽器ですが、SE ArtistModelの方が万能的な楽器といえます。
ドイツ系の曲はイデアルGが、フランス系の曲はSE ArtistModelが合いそうな気がします。
近価格帯他メーカー品との比較
・[ビュッフェ・クランポン]Tradition(トラディション)との比較
トラディションは昔のモデルをベースにして作られた比較的最近の機種ですが、円筒形の内径を持ち、性格的にはイデアルGに似ています。
どちらもそこまで音量が出る楽器ではないのですが、芯のあるクリアな音がします。
キィワークやバレル(タル)の違いがあるので、好みに応じて選ぶのがよさそうです。
・[セルマー]Saint Louis(サンルイ)との比較
サンルイはセルマーにしては珍しく明るい印象の音がします。
ヤマハでいうとSE系の楽器に近いので、イデアルGとは方向性が反対っぽいところです。
SE系の音色が好きだけど、SEVMasterでは物足りなく、SE ArtistModelまで手が出せない場合に検討してみたい機種かもしれません。
・[セルマー]Recital(レシタル)との比較
レシタルはセルマーらしい音色のする機種で、管体を肉厚にしてあるため物理的にも吹奏感的にも若干重量のある機種です。
そのため扱うには非常に体力が必要な楽器です。
レシタルも他にない独特な音色がするので音の好みで選びたいところですが、扱えるだけの体力があるかどうかが重要になりそうです。
・[セルマー]Signature(シグネチャー)との比較
シグネチャーはイデアルGに似た音色を持つ楽器で、イデアルGが発売される前は最もエーラー管に近いベーム管と言われていました。
どちらもドイツ系の音色を持ちますが、楽器の構造的にシグネチャーの方が音量を出しやすい気がします。
セルマーはキィワークが独特なところもあるので、セルマーが合う人でドイツ系志向の人はシグネチャーがおすすめです。

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